前原さんは桐生市出身・在住。
現在は、子育てをしながら自身のブランドSAKASOで桐生の繊維を使ったアクセサリーやバッグなどを制作しています。
前原さんの作るアクセサリーは、石川県の九谷焼に前原さんの手書きのデザインを焼き付け、それに桐生の糸を用いた刺繍のリングを組み合わせて作られています。
軽くて丈夫なものを、とこだわったピアスやイヤリング。 つけていることを忘れてお風呂に入ってしまうこともあるのだそうです。 洗うこともできるので、お風呂で濡らしてしまっても問題ありません。
また、SAKASOのトートバッグやクッションカバーに使われている布には、桐生の繊維業の技術が詰まっています。
使用されている生地は、丸の部分が浮き出ている立体的なデザイン。
ただ、布が織られた直後は凹凸のないまっさらな状態だそうです。
これを一度洗って生地を縮めることで丸が浮かび上がってくるそうです。
布の収縮率が関係しているそうで、緻密な計算と技術の結晶です。
このようにものすごく手間をかけて作られていることを実感した前原さんは、生地を最大限に使うため、「柄合わせをしない」作り方を採用しています。
二色の生地を組み合わせている生地。
柄合わせをしないので、一つ一つ柄の出方が異なります。
環境にも優しく、使う人にとっても自分だけのデザインになる素敵な取り組みです。
このバッグ、実はリバーシブルになっています。
元々は、リバーシブルにするつもりはありませんでしたが、できあがった物を見た前原さんはその裁縫の丁寧さに驚いたようです。 「これは表に出してもおかしくない」、「むしろ裁縫の技術のすごさが伝わって良いのではないか」と思いつき、タグをポケットの中に隠すデザインに変更し、リバーシブル仕様にしました。
また、バッグやクッションカバーに使用しているボタンも環境に優しいアイテムです。
このボタンは、ペットボトルをリサイクルして作った糸を利用しているそうです。
その糸のみでできているボタンですが、触ってみるととても堅くてしっかりしています。
そんな前原さんの作るバッグは、令和5年度グッドデザインぐんまの中でも特に優れた商品に贈られる最優秀賞を受賞しました。
デザインや、環境に優しい点、そして素晴らしい技術を繋げて広げたいという前原さんの思いが評価されたのだといいます。
前原さんの作品は、群馬県立近代美術館のミュージアムショップなど県内外の美術館やセレクトショップの他、オンラインショップでも購入することができます。