前回ご紹介した「染と織 櫟(くぬぎ)」代表の小川由起子さんは、2017年10月、50歳の時、新たに「KUNU-KUNU(クヌクヌ)」というブランドを立ち上げました。「KUNU-KUNU」は、乳がんで切除手術を受けた人向けのファッションブランドです。
ブランド立ち上げのきっかけは、乳がんで摘出手術を受けた友人から「私でも着られる洋服を作って欲しい」と言われたこと。小川さん自身もがんを経験、そして人生の節目の50歳を迎え、何か世の中のお役に立てることはないかと思っていたところだったそうです。これまでの自身の経験や染め織りの仕事がうまく重なって「KUNU-KUNU」立ち上げに至ります。
摘出手術を受けた友人は、ブラジャーの中にシリコンを入れて過ごしていたため、「夏とにかく暑い」「肩が張るのでブラジャーはしたくない」との要望があったため、切除した側にボリュームのある刺繍を施した服を作ったそうです。
小川さんは「医療用の洋服はちょっと堅い、おしゃれじゃないイメージが強いので、手術を受けた方でも自然体でいられる服というのが第一条件。素材感、デザインもおしゃれというのが大切なポイント」と語り、「外に出かけよう!」と明るい気持ちなれるようにおしゃれのお手伝いができればと、左右どちらでもボリュームが出せるオリジナルマフラー、パットを入れられるベストなど様々なアイテムを作っています。そして、乳がんの手術をした、しないにかかわらず、女性がエネルギッシュにおしゃれができるように作っているということです。
乳がんで手術をした方へのお見舞いに贈答品として購入した人から、「プレゼントを見て、暗い表情から明るい表情に変わったので、よかったわ」と感謝のメールが届いたときには、作っていて良かったと励みになったそうです。
小川さんは、「乳がんの切除手術をした人には、若い人もいるため、単価を抑える工夫をし、地元桐生の素材も使って試作したい」「医療関係のイベントにも前向きに参加してPRしたい」と今後を見据えています。
KUNU-KUNU
https://nini-funi.net/
小川由起子さんは、4月5日(金)~9日(火)まで、高崎の大和屋でイベントを行います。
https://www.yamato-ya.jp/
インタビュー:川上直子